なぜ刺し子を取り入れるのか

なぜ刺し子を取り入れるのか

TMMYのプロダクトには、随所に刺し子の意匠が息づいています。

私たちがなぜ刺し子に魅了され、ブランドのものづくりの根幹へと取り入れるに至ったのかをここに記したいと思います。

TMMYが提起している「どうすれば衣服をもっと大切にできるのか」という問いに対し、手仕事がもたらす温もりや、作り手と着用者との間に生まれる感情的なつながりこそが、一つの答えになるのではないかと考えるようになっていたとき、その象徴的で物理的な答えとして出会った存在が、日本に形成された文化として存在した刺し子や襤褸でした。

刺し子は、古くから日本で受け継がれてきた生活文化であり、特に寒冷な地域においては限られた布資源を長く活用するために、布の補強や保温を目的に発展しました。衣服が擦り切れてもすぐに新しいものへと替えることができなかった時代、人々は布を重ねて補強し、保温性を高めながら衣服の寿命を延ばしてきました。そこには「倹約」「補修」「防寒」といった実用的な理由が色濃く刻まれており、決して華やかさだけで語れる文化ではありません。

ファッションデザインの過程において、世界各地で形成され、息づくカルチャーを参照し深掘りしていくことはしばしば行われるプロセスです。私たちは、刺し子という文化や伝統に触れるとき、単なる装飾や意匠として消費するのではなく、その背後にある歴史的な現実や人々の暮らしを忘れずに受け止めたいと考えています。

また、環境問題への配慮として、制作の過程での廃棄を最小にすることにチャレンジしています。

必然的に生じる端切れが制作中の廃棄物の大部分であるため、その扱いに思索を重ねてきました。

端切れを生み出さないパターン設計を試みたこともありますが、この方法では求めるデザイン性やシルエットを損なう制約が伴うため、手を引かざるを得ませんでした。むしろ逆説的に、端切れが生じることを受け入れ、それをいかに活かすかという問いに至ったとき、刺し子はひとつの理想的な答えとなりました。

大小も形も不揃いに生まれる端切れを縫い合わせ、そのポテンシャルを最大限に活かし、新たな可能性を引き出していく過程は、刺し子の発生の背景そのものとも響き合い、まさに点と点がつながるような印象的な体験としてTMMYのクリエイションの方向性を決定づけました。

加速する生産と消費のサイクルが支配する現代に逆行する形になっても、丁寧で職人気質な手仕事こそが未来であると信じ制作を続けています。

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